最近、なんか肩が痛い…。洗濯物を干すことが大変。下着も付けにくくなってきた。
手を伸ばそうとすると激痛が走る。別にぶつけたり、転んだりしていないのになんで?
このような肩の痛みに、お困りの方もいると思います。
原因が明らかではないのに、肩に痛みが生じるような症状を四十肩・五十肩といいます。
この記事では、四十肩・五十肩の概要や症状、自宅でできる予防方法などについて解説していきます。
四十肩・五十肩について もくじ
・四十肩・五十肩とは
・四十肩・五十肩の3つの回復時期
・四十肩・五十肩の原因
・四十肩・五十肩の症状
・四十肩・五十肩の対処法
・四十肩・五十肩の自宅でできるトレーニング方法
・まとめ
・四十肩・五十肩とは

明らかな怪我をしていないのにもかかわらず、肩に痛みが生じ、動きに制限が出るような状態は、四十肩・五十肩と言われています。
正式な呼び名は、肩関節周囲炎といいます。
肩関節周りに、何かしらの炎症や機能不全が起きて、肩が上がらなくなること全般に適応される、意味の広い疾患名です。
・四十肩・五十肩の3つの回復時期
疾患の回復過程で3つの時期を経験することになります。
・急性期
痛みの出始めで、痛みが強い時期のことを言います。
痛みが強いと、安静にしていても痛みが出たり、寝ていても起きてしまうほど痛みが強かったりする人もいます。
痛みの管理が重要な時期になります。
・慢性期
痛みは徐々に軽減してくる時期です。
少しずつ動けるようになってくるので、肩の動きの制限の強さにジレンマを感じる時期です。
高いところのものを取れない、洗濯物を干せない、遠くのものに手を伸ばせないなどの症状がメインになります。
日常生活での不便さが一番目立つ時期と言えます。
・回復期
痛み・可動域が改善してきて、日常生活での不自由さが改善してくる時期です。
徐々に高いところのものに手を伸ばせるようになり、力を入れても痛みが出なくなったり、通常の生活に戻る時期です。
・四十肩・五十肩の原因
四十肩・五十肩は、加齢による筋力低下や、関節の弱さが原因の一つであることはわかってきています。
以下の文献では、加齢により肩周りの筋力が落ちること、肩が悪い方は腹筋・背筋の筋力が弱くバランスが悪いことが多いです。
参考情報: 【肩関節周囲炎患者における片脚立位時の肩甲帯・体幹の動き】≫≫
これらの論文から、肩周りや胴体周りの筋力・肩の柔軟性が重要なことがわかります。
また、肩甲骨の動きが悪くなる原因を考える時に欠かせないのが、姿勢です。
最近、テレワークの導入や外出の頻度が減ったこともあり、姿勢が悪くなっている人が多くなっています。
姿勢が悪くなることで、肩に負担がかかりやすくなり、四十肩・五十肩になってしまう可能性も考えられます。
下記の論文では、猫背姿勢になると肩甲骨の位置が悪くなり、肩関節に負担がかかるとしています。
参考情報: 【自然立位の脊柱アライメントと肩甲骨位置および肩甲上腕関節外転可動域の関係】≫≫
このように、肩は全身の影響を受けて悪くなることが考えられます。
・四十肩・五十肩の症状

四十肩・五十肩の症状としては、肩の痛みと動きの制限が特徴です。
肩の痛みについてですが、症状の程度は人によって様々です。
動かした時に少し痛い程度の人から、夜も寝られないほど痛みが強い人まで様々です。
痛みの原因としては、肩を動かす時に肩甲骨と腕の骨で挟み込みが起きる場合の痛みと、肩の筋肉や関節を包む袋(関節包)が炎症を起こし痛みにつながっている場合があります。
最初に挟み込みですが、肩のインナーマッスルの筋力低下や姿勢の悪さによる負担の増加で、肩甲骨の一番出っ張っている部分(肩峰)と腕の骨が衝突することで挟み込みが生じます。
炎症がひどくない場合は、挟み込みが起きる時だけの痛みで済むことが特徴なので、安静時や夜はそれほど痛みを経験しないことが特徴です。
次に炎症が起きる場合です。挟み込みが生じると、肩関節の動きをよくする組織(滑液包)や、インナーマッスルが挟み込まれ、これらが炎症を起こして痛みにつながります。
また、肩関節を包んでいる袋(関節包)自体も炎症を起こすこともあります。
痛みの特徴としては、強い痛みがあり、痛みが出たらなかなか引かず、夜間や安静時にも痛みが出ることが特徴です。
痛みの改善には肩の負担を減らすことが大事になってきます。
次に、動きの制限についてです。
四十肩・五十肩の時期によっても違いますが、痛みが原因で動きに制限が出る場合と、関節の硬さが原因で動きに制限が出る場合があります。
いずれの場合でも、日常生活に大きな支障をきたすことが考えられます。
症状がひどい場合だと、ズボンを上げる作業が大変になったり、女性の場合は下着を付け外しすることが大変になったりします。
・四十肩・五十肩の対処法
・痛みに対する対処法(強い痛みの場合)
まずは、痛みについて対処をしなければなりません。
痛みがひどく寝られない場合は、肩〜肘にかけてクッションや折りたたんだバスタオルなどを入れて、できる限り肩を安定させてあげることが重要になってきます。
寝ている姿勢で、少し肘が上がった状態を作ってあげることにより、肩の筋肉はリラックスすることができます。
また、肩を取り巻く靭帯や関節を包む袋にも負担がかからない状態となり、関節自体が緩んだ状態になります。
まずはこの状態でしっかりと寝られることを目標とします。
・痛みに対する対処法(慢性的な弱い痛みの場合)
治療が進んできて、強い痛みは無くなったけど、弱い痛みが持続している場合は、患部を温めることが効果的になってきます。
痛みがある状態では、筋肉は痛みを避けるために固まってしまいます。
すると、筋肉自体の血流も悪くなってしまい、血行不良自体が痛みの原因になることも考えられます。
接骨院などでは、温める機械がありますが、自宅では機械はありませんので、他のもので代用していきます。
濡れタオルをビニールに入れて軽く折り畳み、1分ほどレンジでチンします。すると、熱いタオルが出来上がります。
ビニール袋ごとバスタオルで包み、温度を調整して患部に当てます。低温やけどに注意しながら15分ほど温めてください。
・動きの制限に対する対処法(痛みが強い時期)
痛みが強い時期は、肩を動かすことがほとんどできないこともあると思います。
しかし、肩関節は色々な方向に動かすことができる関節です。痛みが無く動かせる範囲があるかもしれません。
動かさないでいると関節が余計に硬くなってしまうことも考えられるため、痛みの無い動かせる範囲で動かしていきます。
肘をしっかりと曲げて腕をコンパクトにして動かすと、肩への負担は減ります。
・動きの制限に対する対処法(痛みが弱い時期)
強い痛みが改善して、徐々に動けるようになってきたら、少しずつ硬くなってしまった関節を動かし始めます。
肩周りの筋肉や関節を包む袋など、肩周辺の組織は色々と硬くなってしまっているので、温めながら痛みに耐えられる範囲であらゆる方向に伸ばしていくことが重要になります。
人により硬くなっている場所や運動方向は異なるため、診察にかかっている先生に、ストレッチの方向などについてはアドバイスをいただくと良いですね。
・四十肩・五十肩の自宅でできるトレーニング方法

四十肩・五十肩を予防するためには、肩甲骨周りの筋力が重要になります。
肩甲骨周りの筋肉と腹筋・背筋を使う運動をご紹介します
1. 四つ這いになります。
2. 右手・左足と対角線上の手足を持ち上げます。
3. そのままの姿勢を10秒キープします。ふらつかないようにすることがポイントです。
4. 反対側も繰り返し行います。
・トレーニングのポイント
背骨が反らないようにすることがポイントです。
支えている手はしっかりと床を押して、肩甲骨から押し出すようなイメージで行うと効果的です。
・まとめ
今回は、四十肩・五十肩について解説してきました。
四十肩・五十肩はこれといった原因がなくても肩に痛みや動きの制限が出てしまう疾患です。
原因は様々なことが考えられており、肩甲骨周りの筋肉の弱さや肩甲骨の動きの固さが肩を悪くする要素と考えられています。
肩が痛くなってしまった場合には、なるべく肩を安定させてあげることが必要になります。痛みが取れてきたら、温めながら徐々にストレッチをしていきます。
四十肩・五十肩を予防するには、肩甲骨周りの筋肉を使用する、四つ這いの運動がお勧めです。
肩に痛みを感じたら、早めに受診をして軽傷のうちに対処をしていきましょう。